藤井聡太五段対羽生永世7冠の注目の初公式戦。羽生7冠、雁木で応戦するも、難局を制したのは藤井五段! 続後編



竜の力を一時封じ込めた感のある後手の、次なる反撃はいかに?!

前回から、攻めの応酬が続いています。先手は竜の侵入に成功しましたが、▲11の隅っこに追いやられ、攻めの力を封じられてしまった感があります。後手は、桂馬得とと金を作っていますが、飛車も角も敵陣には入れず、攻め駒も少ない状況です。ここで後手の指し手が注目されます。

なんと余裕のある手か!▲23歩は果たして間に合うのか?

△3六桂 ▲3八金 △7六歩 ▲2三歩

後手は、△36桂と金取りを利かします。左右挟撃体制を築こうとの意味だとおもいますが、これにはやむを得ず▲38金と金を逃げます。そこで力を貯める感じの△76歩は歩切れも解消して味の良い手です。これだけ玉の周りに敵の攻め駒が迫ってくると焦ります。

そんな焦りの中、先手の次の手に驚愕しました。

▲23歩です。

これは・・・、いったい・・・、間に合うのだろうか?

この23歩を同角と取ると、おそらく▲24歩だと思います。この24歩に対し、△同銀と取ると▲44歩が痛打になりますので、角を引くのだと思いますが、△32角でも△41角でも先手は竜の活用が見込めてよさそうです。

王手でと金をつくり、ますます狭くなる先手玉。攻め駒がほしい後手。

△7七歩成▲5八玉 △4四金

△77歩成と王手しましたが、これに対して同玉は、敵の攻め駒に近づいて危険なため逃げました。この後、やはり後手としては攻め駒不足が否めず、△44金と守りの金を交換して攻め駒を手に入れようとします。また44金の一手で、後手の角のラインが開いていることも注目するところです。

離して打たれた自陣角の王手!応手はいかに?

▲4三歩 △同 玉 ▲4四銀 △同 玉▲6六角

玉頭を叩いて近づけてから同銀ととります。こうして王手になるようにして先手をとります。44に後手玉を釣り出しておいてから▲66角と角を打ちました。この角の受け方がかなり難しいところだと思います。

54玉は▲33角成と桂馬をただで取られてしまいます。△43玉は、44歩から駒をどんどん打ちこまれていって耐えきれなさそうです。ここは、角をはじくため、強く△55銀としたいところだと思います。

持駒に角を渡した先手。それでも攻め駒が足りない後手。待望の22歩成とと金誕生!

△5五銀 ▲同 角 △同 玉 ▲5六銀 △5四玉▲2二歩成

55銀に角は逃げていられません。先手をとって同角と切り、▲56銀と王手で銀を据えてから一転して▲22歩成。めちゃくちゃ遠くを攻めているような感じがして、う~~んと唸ってしまいました。

しかし、後手は攻め駒が不足していて、先手玉に次に詰ますぞっていう詰めろがかかりません。しかし、後手は、角を取られてしまうと、詰まされてしまいます。しかも▲22とを同歩ととれば、81の飛車を素抜かれてしまうため、角を逃げるしかありません。

ゆっくりと包囲網を絞る先手。

△4三角 ▲7四歩 △4六銀 ▲7三歩成

なくなく後手は43に角を逃がします。ここで▲74歩と打った手が、”なんという速度感覚なんだろう”って思わされた手でした。

74銀と打てば一手で後手玉を縛れそうですが、後手玉の頭である55の地点と、先手玉頭の急所を睨んた後手の△46銀が攻防の手で、先手の駒が足りなそうな感じがします。

なので74歩としたのだと思いますが、2手もかけてと金を作るというのは、果たして間に合うのかなって心配してましたが、間に合うものなんですね。▲73歩成とした手を見ると、後手玉の右辺への逃走路がふさがれており、見事に包囲網を構築したという図です。

壮絶な死闘の末、後手玉ど真ん中での投了図。

△7九角▲5五銀打 △同 銀 ▲同 銀 △同 玉 ▲4七桂 △投了

△79角から57の地点に圧力を加える後手。これに対し、▲55銀打ちから銀を一枚損してでも清算して、最後の▲47桂打ち。これにより、後手玉は詰んでいます。

投了図以下は△54玉、△44玉に逃げても、▲55金打ちにて詰みます。△65玉と逃げると、▲66金~▲55金で詰みです。

最後まで、後手玉は攻め駒不足が尾をひいた気がします。逆に言えば藤井五段が後手に攻め駒を渡さずにうまく指したと言えます。私がすごく印象に残ったのは、この一局を通じて”果たして間に合うのかな”って思った回数が多かったことでした。

このことは、相手が持っている攻め駒によって、相手の攻めの速度がどの程度なのか、これを終始計算しながら先手が指していたように感じさせました。

先手は後手よりも、直接的な手ではなく、回り道をしているかのような攻めの手をさしているように見えて、なぜか先手の方が攻めが早いと思う局面が何度かありました。

相手が羽生さんという棋界の巨人であるにもかかわらず、堂々と、その巨人の攻めを鼻先数センチのところでかわしていた若い勝負師の姿がなんとも神々しく感じました。まさに藤井五段は天才ですね。

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